こんにちは。A&K COFFEEのKINEOです。
近年”浅煎り”という名のコーヒーをよく耳にすると思います。
今回はこの浅煎りのコーヒーについて個人的な見解で解説させていただきます。
最初に結論から言ってしまうと、僕はあまり好きではありません。
ただ勘違いしてほしくないのは、完全に否定しているわけでも飲まないわけでもありません。
数は少ないかもしれませんが、”学び”のために飲んだり自分の”好きな味”の追求のために飲むことが多いです。
そもそも珈琲というのは嗜好品です。
誰かに強要されたり、「こうでなければいけない」ということはありません。
ですので、今回の解説はあくまでも僕個人の見解として参考程度にしていただけると幸いです。
A&K COFFEEのKINEOです。ドリップ・焙煎・エスプレッソ・ラテアートまですべて独学で身に付けてきました。現在は東京都板橋区で念願だった『自家焙煎カフェ』を運営、『自家焙煎珈琲豆のオンラインショップ』とこの『珈琲ブログ』も運営しています。他にもビンテージ・アンティークに精通し、コーヒーカップの収集も趣味の一つです。この『珈琲ブログ』は、コーヒーの魅力や知識・技術、そして有益な情報を発信し、たくさんの人と共有することを目的に運営しています。あなたの素敵なコーヒーライフの参考になれば嬉しいです。
ちなみにこの記事の目的は、ご覧いただくことでコーヒーについて迷ったり悩んだりしている方の一助になればという思いで書いています。
何かに依存してコーヒーを選ぶのではなく、あなた自身が自信を持って”美味しいと思う珈琲”を手に取れるようになれば嬉しいです。
それでは、さっそく本題へいきましょう。
【浅煎りが美味しく感じない理由】
さて、僕を含めて浅煎りコーヒーを美味しく感じない人っていますよね。
ではなぜ浅煎りコーヒーが美味しく感じないのでしょうか。
ここで浅煎りコーヒーが好きな人とそうでない人の意見を別々に見てみましょう。
「浅煎りが好きな人の意見」
・華やかな香りが好き
・フルーツのような酸味が好き
・果実のようなフルーティーな味が好き
・ライトでスッキリとしたところが好き
などが代表的な浅煎り好きの意見でしょうか。
一方で浅煎りが好きではない人の意見はどうでしょうか。
「浅煎りが好きではない人の意見」
・酸っぱいから好きじゃない
・コクや深い余韻が物足りない
・華やかな香りより香ばしい香りが好き
・ミルクや砂糖と合わせた時の”相性”が悪い
このような意見が好きではない人の代表的な意見ではないでしょうか。
こうして改めて見てみると、上記の意見は相反するもので非常に面白いですよね。
「フルーツのような酸味が好き」⇒「酸っぱいから好きじゃない」
「華やかな香りが好き」⇒「香ばしい香りが好き」
このように好きな味の傾向が両極にわかれている印象を受けます。
ということは、そもそも論としてコーヒーの味に関しては、互いに交わることができないことがわかります。
『日本人の珈琲の嗜好傾向』
ここからは日本人のコーヒーに関する嗜好傾向を解説していきます。
我々日本に初めてコーヒーが伝来したのは、諸説ありますが九州の長崎からオランダ人商人によってもたらされたという説が有力です。(1640年代頃)
しかしこの頃は当然地位の高い人しか口にできなかったため、まだ日本人に一般流通することはありませんでした。
そしてコーヒーを口にしたことのある人でも”苦味”や”独特な香り”からあまり馴染めない人が多かったそうです。
そしてそこから約200年後の1800年代頃に、同じく長崎から来日したオランダ人医師の”シーボルト”が、日本人にコーヒーを飲む習慣がないことに驚きます。
そしてシーボルトは、日本人がもっとコーヒーを飲むように宣伝活動を行います。
シーボルト著書の『薬品応手録』にて「珈琲は健康長寿に効果がある」として宣伝したのです。
こうして徐々に日本人にコーヒーが浸透していきます。
そして時は明治時代になり、多くの日本人がコーヒーを魅力として受け入れ始めます。
ちなみに日本での本格的な珈琲店は、東京”上野”の地で開かれた『可否茶館』という店でした。(時期尚早で残念ながら数年後に閉店)
そこから時は流れ大正時代、銀座の地で『カフェ パウリスタ』が開かれます。
このパウリスタが、コーヒーの大衆普及に貢献します。
異国情緒あふれる店構えながら、当時の価格の1/3でコーヒーを安く提供したのです。
こうして多くの人にコーヒーが普及していきます。
※『カフェ パウリスタ』は、現在も健在のお店です。
さて、話を戻しまして味の嗜好傾向についてです。
前述したように、広く日本に浸透した頃のコーヒーの味は”深煎り”が主流でした。
当然現在のような”浅煎り”は存在しておらず、コーヒーの味と言えば”深煎り”だったのです。
これは日本のみならず、諸外国でも昔は深煎りが主流でした。
そして様々な説があるものの、僕個人的な見解を言わせてもらうと日本人の深煎り好きは、日本の喫茶店文化に由来すると考えています。
僕の経験で言わせてもらうと、今でも覚えていますが、生まれて初めて飲んだコーヒーの味は”深煎り”のアイスコーヒーでした。(喫茶店にて)
そこから僕の中で「珈琲⇒深煎り」としてインプットされました。
そして2000年代に浅煎りが普及するまで、”深煎りの珈琲”をずっと飲み続けてきたわけです。
そうなれば当然その後も「珈琲⇒深煎り」として成長していきますよね。
要はこれと同じことが他の日本の方にも言えるのでは、と僕は考えているんです。
ですので、日本人のコーヒーの味の嗜好傾向は”日本の喫茶店文化によって作られた”と言っても過言ではないと思います。
※あくまで個人の見解です。
『浅煎りは流行りものなのか?』
では、”浅煎り”ってどうなの?
コーヒーの味はそもそも”焙煎”で決まります。
焙煎士が料理人で、焙煎士が味を決めています。
そしてコーヒーと言うのは、浅煎り~極深煎りまで幅広い”味付け”が可能なんです。
そしてそれは、”酸味”に寄せるか”苦み”に寄せるかでもあります。
浅煎りというのは、酸味傾向が強くなり、深煎りというのは、苦み傾向が強くなるという特徴があります。
中間の焙煎である”中煎り”では、この両者をちょうど良いバランスで味わうことができます。
では、浅煎りにする一番のメリットはなんでしょうか。
それは、焙煎由来の焦げた香りがせず、コーヒー豆が本来持つ個々の香味特性が豊かに表現できることではないでしょうか。
もちろん味に関しても個々の特性がありますが、それは深煎りでも同じことが言えるので。
確かに香りは華やかで、今まで深煎りばかり飲んできた人には、一見コーヒーの香りに思えないかもしれません。
ですが、僕が思うにこの香味特性を最大限活かして焙煎をしているのが、浅煎りコーヒーの醍醐味ではないかと考えています。
ちなみに、外人さんは(一部の深煎り好きを除き)焙煎由来の”焦げ臭”が嫌いだそうです。
しかし日本人は、この焙煎由来の”焦げ臭”をネガティブに感じない人の方が多いようです。
【なぜ浅煎りが日本で浸透してきたのか?】
ここからは、そもそも浅煎りっていつからあったのか。どこから入って来たのかについて解説します。
今の日本のコーヒーシーンや、あなたの住んでいる地域に照らし合わせながらご覧になってみてください。
きっと「なるほど」と思うことができますよ。
『サードウェーブの到来』
コーヒーリテラシーの高い人はご存知かと思いますが、まだまだ知らない人もたくさんいる『サードウェーブ』という言葉。
この言葉を聞いたことがあるけど意味は知らないという人も多いのではないでしょうか。
このウェーブって何?というところから解説します。
このウェーブとは、”波”という意味で、コーヒー業界が通ってきた道筋の中で起きてきたコーヒーの変化です。
流行とも言いたいところですが、それだとちょっと意味合いが変わってしまいます。
ちなみに、このウェーブという言葉が付く用語は、”アメリカ発信”だということも覚えておいてください。
そう、アメリカから発信された”波”が日本を含め、各国に流れ着いているんです。
そしてこの”コーヒーウェーブ”は、第一の波から始まっています。
これを”ファーストウェーブ”と呼びます。
ファーストウェーブは、19世紀後半から1960年代のアメリカでコーヒーが大量生産、大量消費されていた時代です。
この時代のコーヒーは、とにかく安価で低品質なコーヒーが多く普及していたんです。
そして続く”セカンドウェーブ”、これは1960年代以降に起こったエスプレッソマシンを使ったエスプレッソベースのコーヒードリンクが一般化した時代のことです。
いわゆる”シアトル系”のコーヒーブームと呼ばれるものです。
今では誰もがご存知の”スターバックスコーヒー”が、このセカンドウェーブの代表格となりアメリカ全土で広く普及していきます。
続く現代の”サードウェーブ”は1990年頃から起きており、そのキッカケとなったのは、高品質なコーヒーを求める消費者へ応えるカタチで起こります。
サードウェーブでは、コーヒーをただ消費するのではなく、生産者から消費者にわたるまですべてを考慮している考え方が特徴です。
業務用のコーヒーメーカーで大量に作った粗悪なコーヒーを”保温”でいつまでも放置したコーヒーを飲んでいた時代からは考えられないくらい進化し、一杯一杯丁寧に淹れることが推奨されました。
そして今ではコーヒー業界の”Apple”と言われるまでになった”ブルーボトルコーヒー”
セカンドウェーブの代表格は”スタバ”でしたが、サードウェーブの代表格と言えば”ブルーボトル”になります。
ブルーボトルは、2015年に日本に初上陸(清澄白河)したアメリカ発信のコーヒーメーカーです。
主にスペシャルティコーヒーを扱い、浅煎りのコーヒーを主体としているスタイルで、サードウェーブらしく一杯一杯丁寧にハンドドリップで淹れてくれます。
浅煎りのコーヒーが主体なので、好き嫌いがわかれるところですが、ブルーボトル創業者の”ジェームス・フリーマン”さんは東京渋谷の”茶亭 羽當”に訪れ、日本の喫茶店の味に感銘を受けています。
こんな話を聞くと、深煎り好きもブルーボトルに親近感が湧きますよね。
このサードウェーブの動きにより、コーヒー業界は”サスティナブル(持続可能性)”や、”トレーサビリティ(情報が追跡可能)”が求められていきます。
そして、より品質が高く生産者にも消費者にも良い時代へとなっていきます。
最後にもう一度、ウェーブはアメリカ発信のコーヒーの”波”です。
ですので、上記の動きを日本のコーヒー業界も影響を受けてきた、というワケです。
『スペシャルティコーヒーって何?』
もう一つコーヒー業界の主要な活動があります。
それが”スペシャルティコーヒー”です。
一番最初にスペシャルティコーヒーの概念が誕生したのは、1980年頃になります。
1978年にフランスで開かれたコーヒー国際会議の場で”エルナ・クヌッセン女史”という方が提唱しました。
そしてスペシャルティコーヒーの理念を表す言葉があります。
『From seed to cup』(種からカップまで)
この言葉が表しているのは、コーヒーに関わる全ての人が、そのコーヒーの品質を守り、カップに注がれるまで大切にしよう、ということです。
現在では世界各国、もちろん日本にも”スペシャルティコーヒー協会”が設立されています。
しかしながら、各国ごとにスペシャルティコーヒーの定義が異なっており、現在まで共通化されていません。
すこし心配になるところですが、安心してほしいのは各国共通して「より美味しく香り高いコーヒー」を目指しているということです。
“スペシャルティコーヒー”に”サードウェーブ”、巷では次の”フォース(第4の波)”が来るとか来ないとか。
もし来るなら、この先コーヒーはどうなるのですかね。
【どう珈琲と向き合えばよいのか?】
ここまでご覧になって、この先どうやってコーヒーに向き合っていけば良いのかと思ったのではないでしょうか。
その答えは意外と簡単なんです。
いかにコーヒーが粗悪になろうが、高品質になろうが、”嗜好品”の域を出ないからです。
何が言いたいのかというと、単純にあなたが「美味しい」と思えるコーヒーを飲めば良いのです。
これはいつの時代でも普遍的なことであって、変わってはいけないことでもあります。
コーヒーを取り巻く状況が変わるだけで、あなたが美味しいと思う感じ方は変わりませんから。
そして状況だけでなく、コーヒー関係者のようなコーヒーに詳しい人が言っていたからといって、あなたの好きなコーヒーの味を変えてはいけません。
もちろんそれが本当に美味しかったのなら話は別ですが。
美味しいと他人に言わされるようなコーヒーの飲み方は、僕はあまり好きではありません。
最初は良いかもしれませんが、慣れてきたら本当に直感的に美味しいと思えるコーヒーを探しましょう。
これがいつの時代も変わらない”一番大切なコーヒーとの向き合い方”だと僕は考えています。
【個人的におすすめするお店】
最後にいま僕が一番おすすめするコーヒー豆の通販ショップを紹介して終わります。
『土居珈琲』
土居珈琲さんでは、コーヒーの生豆から丁寧にハンドピックし、欠点豆などの不良なコーヒー豆を排除しています。
そして扱っているコーヒー生豆は、スペシャルティコーヒーや希少な”COE(カップ オブ エクセレンス)”です。
僕も実際に土居珈琲さんから購入して自分で淹れて飲みましたが、袋を開けた瞬間からコーヒーの甘い香りが立ち込めてとても印象に残っています。
扱っているコーヒーがとても希少で高品質なのですが、特に浅煎りにしているわけではなく”中煎り”くらいのちょうど良いバランスの焙煎度合いです。
とても焙煎が上手く、高品質なコーヒーのポテンシャルを極限まで引き出している印象でした。
味についても、酸味が強いわけでもなく、苦みに特化しているわけでもなく、本当に飲みやすくて美味しかったです。
スペシャルティコーヒーというと決まって浅煎りが多いので、なかなか手が出しにくいと思っていたなら『土居珈琲』さんを一度試してみてください。
安価なコーヒーを何度も飲むより、一度飲むだけで感動と高い満足度を提供してくれていますよ。
【ま と め】
ここまでご覧いただいていかがだったでしょうか。
この記事を読んだだけで少しコーヒーリテラシーが向上したのではないでしょうか。
冒頭で伝えたように、僕自身は浅煎りは苦手です。
でも飲まないこともないし、否定もしません。
しかしここまで解説してきたように、僕は”自分の珈琲の味”というのを何よりも大切にしています。
それを踏まえた上で、浅煎りは苦手と言っているんです。
酸っぱいからとか、そういうので嫌いなわけではなく、自分の好きなコーヒーの味ではないから、という表現が近いですかね。
このように自分でどんどん評価していって良いんです。
間違ってもやってはいけないのが、何かに依存して美味しいと言わされることです。
これさえなければ、しっかりと地べたに足を付けてコーヒーに向き合っていくことができますよ。
では、今回はこの辺で終わりたいと思います。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
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それでは、また次の記事で!
KINEOでした。
【A&K COFFEEからのお知らせです】
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A&K COFFEEのKINEOです。ドリップ・焙煎・エスプレッソ・ラテアートまですべて独学で身に付けてきました。現在は東京都板橋区で念願だった『自家焙煎カフェ』を運営、『自家焙煎珈琲豆のオンラインショップ』とこの『珈琲ブログ』も運営しています。他にもビンテージ・アンティークに精通し、コーヒーカップの収集も趣味の一つです。この『珈琲ブログ』は、コーヒーの魅力や知識・技術、そして有益な情報を発信し、たくさんの人と共有することを目的に運営しています。あなたの素敵なコーヒーライフの参考になれば嬉しいです。
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