こんにちは。A&K COFFEEのKINEOです。
今回は、【コーヒーの抽出技術】 正しいお湯の注ぎ方は?【良い注ぎ方と悪い例】という内容で解説していきたいと思いますので、コーヒーの抽出の際に、特にお湯の注ぎ方についてお悩みの方は是非最後までご覧になってみてください。
ちなみにドリップで美味しいコーヒーを抽出するにあたって、お湯の注ぎ方というのはある程度は必要なスキルになります。
ですので、この記事を参考にして正しいコーヒーの抽出ができるようになって下さいね。
A&K COFFEEのKINEOです。ドリップ・焙煎・エスプレッソ・ラテアートまですべて独学で身に付けてきました。現在は東京都板橋区で念願だった『自家焙煎カフェ』を運営、『自家焙煎珈琲豆のオンラインショップ』とこの『珈琲ブログ』も運営しています。他にもビンテージ・アンティークに精通し、コーヒーカップの収集も趣味の一つです。この『珈琲ブログ』は、コーヒーの魅力や知識・技術、そして有益な情報を発信し、たくさんの人と共有することを目的に運営しています。あなたの素敵なコーヒーライフの参考になれば嬉しいです。
それではさっそくいきましょう!
【コーヒーの淹れ方】正しいお湯の注ぎ方は?
さて今回は「お湯の注ぎ方」について解説していきますね。
コーヒーを抽出する際のお湯の注ぎ方というのは、要はお湯のコントロールができるか?ってところだと思います。
以前僕の知り合いから、「自分でコーヒーを淹れるとすごく薄くなって美味しくない。」と相談を受けたことがあるんです。
その時僕は、「良いコーヒー豆で淹れていれば、そこまで淹れ方で味に大差はないよ。」とだけ伝えてあまり相手にしなかったんですね。
すると次に会った時にその人はまた同じ事を僕に言って来たので、おかしいなぁと思いながらも
「コーヒー豆は焙煎から時間経ち過ぎてない?」とか「一人分の粉量合ってる?」とか聞いてみたんですよ。
そしたらその人が言うには、僕の聞いた内容のことは全て大丈夫だったんです。
またまた「おかしいなぁ~」と思いつつ、今度はその人の家で僕が淹れることになったんです。
とはいえ、まずは普段どうやって淹れているかを知りたくてその人に淹れてもらったんですね。
そこでビックリ!!!!
一応専用のドリップケトルを使用していたのですが、淹れ方がなんと「ドバーッ!!」と豪快にお湯をドリッパーへと注いでいたのです!
「そりゃ薄くなるだろ!!」と…
しかしそこで初めて理解しました。
「なるほど、コーヒー慣れしている人間には常識的なことだけど、初心者の人の中にはこういう人もいるのか…」と。
さすがにこういった人は稀だと思いますが、その人の淹れ方を目の当たりにして初めて気付けました。
その後僕がちゃんと淹れて、淹れ方も味も納得してスッキリして終われたんですけどね。
ということで、この記事でしっかりとしたお湯のアプローチの仕方を解説しようと思ったワケです。
「蒸 ら し」のコツ
ではまずは「蒸らし」からです。
「蒸らし」の考え方
この「蒸らし」というのは、プアーオーバー(ドリップ)ではもはや当たり前の抽出のアプローチになっていますが、日本の古き良き喫茶店のネルドリップによる「デミタスコーヒー」になると、この「蒸らし」の行程がありません。
もしかしたら「蒸らし」を入れる所もあるのかも知れませんが、僕の知る所では「蒸らし」の行程はありません。
数あるコーヒーの検証では、この「蒸らし」が抽出したあとのコーヒー液の「収率」へ与える影響が大きいことがわかっています。
※「収率」とはコーヒー抽出の際に、どれくらいコーヒーの成分をお湯に溶かし込んだかを数値化したものです。
どういうことかと言うと、「蒸らし」の工程を入れなければ「収率」は下がり(濃度は薄くなる)、「蒸らし」の工程を入れれば「収率」は上がる(濃度は濃くなる)ということです。
こういう説明になると少し難しく聞こえますよね。
この「蒸らし」の注意点なのですが「濃い・薄い」と、ひと言に言ってますが、自分の好みの成分だけが濃くなるわけではなく、ポジティブな成分もネガティブな成分も「濃く・薄く」ということになりますので注意してくださいね。
上記のことから、昔ながらの「デミタスコーヒー」では、通常のドリップに比べて抽出時間が長く、もともとの「収率」が高い為「蒸らし」の工程がないのかもしれません。(「蒸らし」を入れるとさらに濃く出過ぎるため)
ですので、上記のことを念頭にこの「蒸らし」を考えていってみてください。
「蒸らし」のやり方
では前置きが長くなりましたが、「蒸らし」のやり方について解説していきます。
やり方自体は全く難しくはないので、気楽にご覧下さいね。
【一人分のコーヒーの粉量が12gの場合】
・適温のお湯をドリッパー内のコーヒー粉に「蒸らし」の分だけかける。
・粉にかけるお湯の量は約25g程度(大体で大丈夫です。)
・コーヒー粉の表面を良く観察しながら時間を置く(約30~40秒程度)
ドリップスケールをお持ちでない人向けに捕捉します。
スケールがないので基本はザックリになりますが、大丈夫です。
基本的にどんな粉量でもたっぷりのお湯をドリッパーに注いでください。
目安としては 「蒸らし」分のお湯をコーヒー粉にかけ終わったら、数秒経過してからドリッパーの下からコーヒー液がポタポタ滴る程度が丁度いいお湯の量です。
これがお湯をかけ終わってすぐにドリッパーからコーヒー液がザーッと出てくるようだとお湯の量が多いですし、逆に数秒経過してもコーヒー液が出てこなければお湯の量は少ないです。
ですので、コーヒー液がドリッパーからポタポタ滴る程度が適量と覚えてみてくださいね。ザックリで大丈夫なので。
一番注意していただきたいのが、「蒸らし」で使用するお湯が加減し過ぎてしまって”少な過ぎる”ことです。
少ないよりかは、多くお湯を注いだ方が良いと覚えてください。
適正な「蒸らし」(チャネリングの防止)
適正で上手な「蒸らし」とは、コーヒー粉全体にしっかりとお湯を浸透させて、抽出不全を防ぎ抽出効率を向上させることです。
この「蒸らし」が不十分だと、チャネリング(お湯がコーヒー粉を通過する際のお湯の偏り)という現象も起こりやすく、上手に抽出がされにくくなります。
ですので、しっかりと「蒸らし」をしてあげることで、コーヒー粉から出る成分を抽出しやすくし、同時にチャネリングによるお湯の偏りを防ぐのです。
※ほかにもチャネリングを防止し抽出効率を上げる方法として、「コーヒー粉を事前に撹拌してダマをなくす」や「蒸らし時にスピンを加える」、「蒸らし時にスプーンなどで撹拌する」といった方法があります。
以上がコーヒーの「蒸らし」の考え方です。参考にしてみてくださいね。
お 湯 の 注 ぎ 方
では次にお湯の注ぎ方です。
冒頭での僕の過去のエピソードのようなお湯のかけ方の人は、この記事を読んでいないと思いますが(わからないけど)、参考程度に解説していきますね。
まず最初に言っておきたいのがドリップケトルは必須だということです。
過去の記事でも書きましたが、湯沸かしケトルでも出来るとは思いますが、かなり難易度は高いです。
この記事を読んでくださっている人の中にはいないと思っていますが、一応書いておきます。
話しが少し逸れましたが、基本的にプアーオーバー(ドリップ)の注湯の仕方は、「お湯を細く注ぐ」ということが大切です。
もちろん状況により「太く注ぐ」ことも当然ありますが、それはドリップ用の「細口ケトル」での太さなので、間違っても湯沸かしケトルのような口の大きいケトルでの太さではありません。
▼湯沸かしケトル
特に抽出当初の段階では、コーヒー粉は良く膨らみそれに加えて泡(灰汁)も勢いよく出てきます。
僕の抽出方法では、浅煎りのコーヒー豆以外(中煎り、中深煎り、深煎り)ではコーヒー粉のドームを維持しながら(壊さないように)抽出する方法です。
抽出当初からお湯を太く注いでしまうと、早々にコーヒー粉のドームが決壊(壊れて)してしまいます。
ですので、抽出当初は特にお湯を細くして注湯していく必要があります。
▼抽出当初の注湯の仕方
そしてある程度お湯を細く注いでいると、その内コーヒー粉のドームが抽出はじめの頃より安定してきます。
それを見極めたら、少しずつお湯の太さを変えていき、注湯の幅も広げていきます。
▼「の」の字を描くように注湯していきます。
ここまで来たら後は目的の抽出量まで抽出して終わりです。
もし抽出途中で、コーヒー粉のドームが膨らみ過ぎて決壊しそうになったら一回注湯を止めて、少しして落ち着いたらまた注湯を開始するといった感じで目的量まで抽出すれば大丈夫です。
文字で読んでいるほど実際は難しくないので、ぜひ参考にして抽出してみてくださいね。
「コレやってませんか?」お湯の注ぎ方の悪い例
最後のまとめにいく前に、「お湯の注ぎ方の悪い例」をいくつか挙げておきます。
ご自身でコレをやっていないか照らし合わせてみてください。
お湯の注ぎ方がそもそも早くて雑
コーヒーの抽出作業は、基本的にゆっくりです。ですので、あまりにもせっかちな淹れ方をしてしまうと当然上手く抽出は出来ないでしょう。
時間が掛かると言っても4~5分の事なので、落ち着いてリラックスして抽出しましょう。
「蒸らし」の行程からペーパーにまでお湯をかけてしまう
これも結構やりがちな抽出の仕方です。
最初の「蒸らし」の行程の時に、ペーパーの上の方に付いたコーヒー粉が気になってそこにお湯をかけながら抽出していませんか?
これをやってしまうと一定のお湯はコーヒー粉に触れずに、ペーパーとドリッパーの隙間から抜けていき、ただのお湯として下のサーバーへと落ちるだけです。
ですので、ペーパーの上の方に付いた細かいコーヒー粉の事はあまり気にしないで抽出するか、コーヒー粉をペーパーに入れた時に、テーブル等の固めのところでドリッパーごと「トントン」っと叩いてあげれば、上に付いていた細かいコーヒー粉が落ちますので試してみてください。
基本的に「蒸らし」の工程では、ペーパーに直接お湯をかける事はありません。なので、「蒸らし」の時はコーヒー粉にだけお湯が当たるように注意して抽出を進めるようにしてください。
抽出に時間がかかり過ぎる
これは聞いたことがあるかも知れませんね。
コーヒーの抽出にあたってどういった順番でコーヒーの成分がお湯に溶けだしていくかを理解することが必要ですので、ザックリですが解説しておきますね。
代表的なコーヒーの成分は、「酸味・甘み・苦み・渋み」(味なのでコクや香り等は省きます。)なんです。この成分はお湯に溶けやすい成分とお湯に溶けにくい成分があるという事が分かっています。
酸味成分はお湯に溶けだしやすく、抽出の前半で抽出されやすいです。次いで甘み→苦み→渋みと続いて抽出されていく傾向にあります。
ということはですね、時間を掛ければ掛けるほど、苦みや渋みといったネガティブな成分が抽出されてしまうということです。
ですので、あまりにも抽出に時間をかけ過ぎてしまうのはダメということになります。
一人分の分量でも掛かっても大体3分前後が目安です。前置きが長くなりましたが、これを理解した上で抽出してみてください。
ま と め
では、今回のまとめです。
「蒸 ら し」
・「蒸らし」による抽出への効果を理解する。
・「蒸らし」による収率の向上
・「蒸らし」によるチャネリングの防止
・「蒸らし」の工程では、お湯はたっぷりと(お湯をかけ終わってから、しばらくしてドリッパーからコーヒー液が滴る程度が〇)
「注湯の仕方」
・コーヒー抽出のお湯の注ぎ方は「お湯の太さをしっかりコントロールできるか」がキモ!・抽出当初では、お湯は細く
・コーヒー粉のドームが安定してきたら注湯の太さを変える
・抽出の中盤では、注湯の幅も広くし、のの字を描くように注湯する。
・コーヒー粉のドームが決壊しそうになったら、一度注湯をやめ、落ち着いたら再度注湯をしていき目的量まで抽出する。
「コレやってませんか?」お湯の注ぎ方のダメな例
・お湯の注ぎ方がそもそも早くて雑
・「蒸らし」の工程からペーパーにまでお湯をかけてしまう。
・抽出に時間がかかり過ぎる(一人分で大体3分前後が目安)
ということで大丈夫でしょうか。
もしお湯の注ぎ方に関して疑問に思っている方がいたらこの記事が参考になれば嬉しく思います。
ぜひご自宅で試してみてくださいね!
それでは今回はこの辺で。
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